月別アーカイブ: 2014年4月

【本】『 ザ・クレーター(3)』手塚治虫

ラスト「クレーターの男」が印象深い。
月にロマンが残っていた時代だったせいか手塚氏の漫画には比較的月を舞台にしたものが多い。月から仰ぎみる地球のイメージはレイ・ブラッドベリ『火星年代記』からの着想だろうか。無常感から光瀬龍氏の宇宙ものを思い浮かべたりもする。

【映画】『リアル・スティール』

この映画はもともとリチャード・マシスンの短編小説をふくらませたもので『トワイライト・ゾーン』で一九五六年すでに映像化されている。
原作を既読済みで期待せずに(スケールがあまり大きくない話だったので)観たら、離婚した家族の親子関係、ロボットに関連して国際事情など現代的な要素を盛り込んでスポ根ものとしてもSFとしても燃える映画になっている! 
ロボットのデザインは『パシフィック・リム』よりこちらのほうが断然好み。思いがけず得した気分。

【本】『ユフラテの樹』手塚治虫

あとがきより、「高い次元で描いた作品ではありません」のでタイトルの由来は「今は思い出せません」とのこと。
推測するにタイトル『ユフラテの樹』はおそらくチグリス・ユーフラテスからメソポタミア文明のシュメール神話の「世界樹の伝説」、エデンの園の「知恵の林檎」、イエス・キリストの「奇跡」、と当時はやっていた超能力をつなげたのではないか。
先の展開を考えずに適当に連載をはじめながら考えたらしいが、綺麗にまとめてしまう手塚氏の漫画力は尋常でない。しかも当然ながらちゃんと面白い!

【本】『ドン・ドラキュラ(全3) 手塚治虫

リアルタイムでアニメを観たことがあるのだが、『手塚治虫のドン・ドラキュラ』とオープニングが始まった時点で生理的に「ダサ!」と感じすぐにチャンネルを替えてしまった。
かように小さい子供にはわからない微妙なところを狙っていたと思う。ちなみに一〇代後半で読んだらかなり面白かった。それから二〇年以上経っていま読み返してみたらさらに面白かった。
ドラキュラのひとりむすめチョコラがかわいい。

【映画】『フォロー・ミー FOLLOW ME』

筒井康隆『脱走と追跡のサンバ』の緑色背広の尾行者はこの探偵からの着想?……調べると『脱走と追跡のサンバ』はこの映画公開よりも一年前の一九七一年の作品。同じことを考える人が同時多発的に世界のいろんな場所で現れるものだ! 
でも「探偵物語」の元ネタの一つであることはそうですよね?

【本】『マグマ大使(全3) 』手塚治虫

僕の持っていた旧単行本とこの全集版では後半の内容が全く違う……なんとアースやゴアよりも偉い宇宙の創造主カオスさまが争いの調停者として登場!
カオスさまが巻来功士氏の『ゴッドサイダー』に登場する「超高次元の魔神」みたく人間臭すぎて、旧単行本よりスケールが小さくなっている。
これはこれで面白いけどちょっと苦笑。

【映画】『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』

自分が日本映画を観るとリアリティラインがどうしても高くなってしまって、あまりいいみかたができないなあ……
これがハリウッド映画だとこんなものだと気にしないんだろうけど(多少のファンタジー要素が入る?)、これは演技っぽい、こんなことは実際にしない、と同じ日本人だからか思ってしまう。

【本】『イソップ寓話の世界』中務哲郎

「人体のすべてが今と違って心を同じくせず、体の各部分がそれぞれ自分の考えと自分の言葉を持っていた時のこと」という寓話の言い回しが興味深い。
そんな時代に戻ったら自分のチンポとブレインストーミングできるのかしら。

人間の歴史として残っていないほどの過去はもっと混沌としていたから、動物や植物やはては自然物や季節が人間のように話すのも無理はない、という考え方なのだろうか。
あるいは聖書でイエス・キリストがしばしばたとえ話をするように、そういうレトリックでものを語る時代だったのか。

【本】『鉄腕アトム(1)』手塚治虫

「アトム大使の巻」地球そっくりに進化した惑星の宇宙人(船団には地球人類と同じ人口)が、地球に押し寄せてくる。問題を解決するため中立の立場であるロボットの「アトム」を会議に参加させる……ハイブローな内容のSF。後のロボットプロレス要素がない。
「気体人間の巻」成層圏に住む空気状の生物が人間に乗り移り、人間を奴隷化しようと暗躍する。ラストの情け容赦のない解決法の後、アトムの「もしあなたの近くにわるい心の人がいたら……それはきっと煙にとっつかれているんです ほんとはいい人なんですよ」とことん空気人間を悪く言い様に笑ってしまう。

【本】『鉄腕アトム(2)』手塚治虫

「海蛇島の巻」頭がなくなっても空を飛ぶし喋るし、アトムの頭の役割ってかざり?
「人工衛星SOSの巻」アトムのクラスメイトが「僕のおとうさんは人工衛星の信号係だよ」と言ったばかりに「やーい やーい 人工衛星の子やーい」といじめられる意味がわからない。この未来世界観では底辺の仕事みたいだが、人工衛星に携わる人が差別される理由が思いつかずひたすら不条理。
「ZZZ総統の巻」敵ボスの仮面を剥ぐとこの物語の重要人物●●●の顔が! こういうどんでん返しかと思って読んでいると、「いや…おれは●●●のふたごの兄だ」ってそれこそ何の伏線もない! 

【本】『鉄腕アトム(3)』手塚治虫

「アルプスの決闘の巻」人造心臓を胸に入れ人間の心を手に入れたアトム。キャラの内面が記号的なので普段のアトム(心のないロボット)と違いがよくわからない。ちなみにこの話は連載でなく付録に掲載されたもので、他のエピソードと比べ絵が荒くコマ割りが大きい。手塚氏はストーリーを細かく描き直すのに、こういう絵の誤差は気にしないという不思議。しかもコマ割りがスカスカなぶんストレスなく読み進められてむしろこちらの方がいい。
「アトラスの巻」 第二期のアニメ版アトムでライバルとして描かれたアトラスが登場。土管に手足がついたような身体で、股間の穴からジェット噴射で飛ぶ。何でこんな格好わるいデザインにしたのか理解に苦しむ。

【映画】『リーサル・ウェポン』

二〇年ぶり鑑賞。メル・ギブソンが遠くから狙撃しているところしか覚えてなかった。
途中まで自殺した被害者がメルちゃんの元恋人だと勘違いしていた。彼女が自殺したからメル・ギブソンはやさぐれているのか……それは仕方がない、と解釈していたので、途中でそうでないことがわかったらちょっと混乱した。

いま観るとメル・ギブソンがあまり人間兵器(リーサル・ウェポン)でない。最近の『ダイ・ハード』はただの刑事であるブルース・ウィリスでさえもっと超人的な活躍をするじゃないか。
この手の映画はインフレ起こし過ぎ。

【描き方】漫画ができるまで(デジタルの方法)

のぞむの漫画がどうやってできるのか意外とみんな興味あるみたいなのでここで公開してみようと思います。
今回は詳しいことは先送りにして、まずはざっと漫画がどうやってできるか説明します。

のぞむよしお名義で作品をつくるとき…

まず、二人で打ち合わせしてだいたいのプロットを作ります。
それをもとにしてよしおがシナリオを書いてきます。

よしおのシナリオ

のぞむよしおが教室で話をしている。
のぞむ「ほんでお前、誰のおめこ舐めたいねん?」
(註}・・クラスでは誰が好きかという意味)
よしお、頬を赤らめながら「好きな人なんておらんよ・・・」と照れる。
のぞむ「ふん!もったいつける程の男か!言えや〜!」
中村、胸ポケットをおさえる。
のぞむ「お前どうせ生徒手帳に好きな女の写真でも挟んでんねんやろ!」
中村「挟んでへんわ!」
のぞむ「見せろや〜!」
ぽろっと生徒手帳が落ちる。
中村「やめろや〜!」
拾おうとするのぞむと、もみ合いになるのぞむよしお。
「やめたれや〜!」と声がする。

そのシナリオをもとにして僕がネームを描きます。
コマ割の関係や物語の前後関係を考慮し、演出は多少変えたりします。
ネーム

ネームにオッケーが出たら、よしおとポーズ撮影です。
のぞよし漫画の登場人物には全てモデルがいます。

ポーズ撮影が終わると、ネームをスキャナでパソコンに読み込でいきます。
次に読み込んだネームにPhotoshopを使って、ポーズ撮影した画像をレイヤーで重ねていきます。
これが原稿の下描きになります。
(1ページにつきだいたい1時間かかります)

下描きをプリントアウトして、原稿用紙にトレースしていきます。
(これも1ページにつきだいたい1時間かかります)
ペン入れした原稿

完成した原稿をスキャナで読み込みます。
原稿に、さきほど仕上げた原稿の下描きの画像から人物の色を重ねていきます。
重ねた画像に色調補正かけたのが下です。

背景を重ねていきます。
背景を重ねた原稿

スピード線や集中線などの効果線を重ねます。
効果線を入れた背景

擬音とモノローグを重ねます。
これで原稿は完成です。
(仕上げ作業も1ページにつきだいたい1時間かかります)
僕はこのまま原稿をグレースケール・600dpi・保存形式はpsd(レイヤーは統合済)で脱稿します。

雑誌に掲載されるとこんな感じになります。
(週刊ヤングジャンプ2004年 No.4『舞い戻ってきた性的人間』より抜粋)

最後におまけで漫画の背景の作り方。
背景はPhotoshopアクションで作っています。
こんな感じです。

このPhotoshopアクションを使うとこの背景が‥‥
元画像

一瞬にしてこうなります。
画像処理後

付記 2009年11月
更新したPhotoshopアクションはこちら
Adobe PhotoshopCS2、Macで作成。
(ZIPで圧縮したデータをダウンロードできます)

【描き方】ダウンロードサービス

漫画を描くときこういうのがあったら便利じゃないのかな〜というものをアップしていきます。
好きなだけダウンロードしてください。

ネーム用紙

    これは必要でしょ。
    僕はここにネームを描いてそれをスキャンした後、原稿用紙サイズに拡大して写真をコラージュしトレースしています。
    正確に目盛りをうっているので、丁寧に描いてきちんと拡大すれば下描きにも使えるというわけです。
    B4サイズで用意しておきま したのでレーザープリンターなどでプリントアウトするとよいですよ。

 

ネーム用紙(横B4)
(画面をクリックしてください!)
name

 

原稿用紙

    なかなか使い勝手がよいのが無いので自分で作りました。
    これにスキャンした原稿を張り付けて加工するのです。
    もっと使い勝手がよいものができたらまたアップしますね。

 

原稿用紙(縦B4)
(画面をクリック!)
genkouyousi

原稿用紙内側ラインのガイドのアクションはこちら

見開きページの原稿用紙(横B3)
(画面をクリック!)
mihirakigenkou01

自作トーン

    集中線01
    (画面をクリック!)
    haikei01

    集中線02
    (画面をクリック!)
    haikei02

【描き方】Photoshopで描いた1

最近フォトショップを使ったイラストを描くことも多いので、どういうふうに描くのか途中経過をアップしてみましたシリーズです。
(2011年5月)

カードゲームのイラストを描いたときのことを描いてみます。
キャラクターはショッカーライダー(にせ仮面ライダー)です。

ソフト Adobe Photoshop CS4とpainter7
ハード デュアル2.7 GHz 64ビットPowerPC G5 メモリ4GB
ワコム液晶タブレットCintiq 21UX

まずパソコン上でラフを描きます。
鉛筆ツールでなるべく正確に形をとります。

下描き(ラフ)

下描き(ラフ)

 

編集部からラフのオッケーが出ると、色を塗り始めます。
アナログ作業の場合は全体のバランスを考えながら色を塗りますが、僕はデジタルで加工する場合は、全体のバランスを後で取ることにして個々のパーツをバラバラに描いています。

色塗り(その1)

色塗り(その1)

 

主要キャラの色塗りほぼ完成。
これ以上は全体のバランス見ながら描き込んでいきます。

色塗り(その2)

色塗り(その2)

 

背景を描き始めます。
まずは遠景から。

背景作業1

背景作業1

 

背景をさらに描き込んでいきます。
手前のキャラクターもバランスを見ながらさらに描き込んでいきます。

背景作業2

背景作業2

 

背景完成。
キャラクターとのバランスを考えながら全体を補正します。

背景作業3

背景作業3

 

編集部のチェックが入り、触覚や手前の波しぶきなどなど細部に修正を加えて完成。

完成した原稿

完成した原稿

 

カードがこちら。

バンダイ レンジャーズストライク カード

バンダイ レンジャーズストライクカード

 

【描き方】Photoshopで描いた2

フォトショップを使ってイラストを描くシリーズその2。
(2012年2月)

カードゲームのイラストですよ。
キャラクターは仮面ライダーファングジョーカーです。

ソフト Adobe Photoshop CS4とpainter7
ハード デュアル2.7 GHz 64ビットPowerPC G5 メモリ4GB
ワコム液晶タブレットCintiq 21UX

パソコン上でラフを描きます。
01

 
色塗り。
02

 
細部の描き込み。
03

 
目や影、足元などの細部。
04

 
ライダー完成。
05

 
背景を描き込んでいきます。
07

 
手前のキャラクターとのバランスを見ながらさらに背景を描き込んでいきます。
09

 
ライダーと背景の色調を合わせて仕上げ。
10

 
完成したカード。(バンダイレンジャーズストライクカード)
1005111709

【描き方】仕事部屋(2011年春・新座市ひばりが丘)

ひさしぶりに更新します。
以前と比べいろいろな変化があったので、備忘録的に。
そこでまたのぞむの仕事部屋をのぞいてみることにしましたよ。
(2011年5月)
DSC05803

上京してから四カ所目の住処です。
江戸川乱歩やベートーヴェンみたく一箇所に定住したくない人なので二年、長くて四年で引っ越すのですが一〇年で四箇所はちょっと引越し料金含め勿体無い気もしますね。
ちなみに現在は、漫画家はずっと家にこもって仕事しているので都内に住んでも無意味だ!ということで思い切って郊外に引っ越し住んでいるですが、外出するのが面倒になりひきこもりがちになって大後悔。
近々、引越しを考えているとのことですよ。
DSC01377

いろいろな角度から撮影してみましたよ。

DSC01381

DSC00248

DSC00063
仕事部屋(左側が僕の机)

天井側から見るとこんな感じ。
DSC01386

仕事部屋(奥が寝室)
寝室と仕事場を隔てたフスマは息苦しいので、普段はテレビの後ろにたてかけています。
DSC01383


<前へ 【描き方】 次へ>

【描き方】仕事部屋(2004年春・中野坂上)

今回はのぞむの仕事部屋をのぞいてみることにしましたよ。
おしっこおしっこ。
(2004年春)
DSC09615

これがのぞむの仕事部屋です。
汚くてすみません、片づけるのが苦手なのです。
左側の机がアシスタント専用の机で、右奥がのぞむの机、右手前の机がスキャナ・プリンタ等を置いている作業机です。
奥が流し。
DSC09634
仕事部屋

ちなみに逆から見るとこんな感じ。
奥の部屋が寝室です。
DSC09644
仕事部屋(逆バージョン)

仕事机を順に見ていきましょう。
机は幅120センチあり、かなり余裕を持って仕事ができます。
机の右端に置いているのは耐水用の持ち運びできる液晶テレビです。
お風呂でも見ることが可能。
一昨年スピリッツの忘年会のビンゴ大会で一等当てました。
これで運を使い果たし、連載の話がなくなったのですが‥‥
時計と温度計を前の壁にかけています。
DSC09645
のぞむの机

のぞむの机の上を拡大します。
トレース台は幅60センチとかなり大きいです。
今やこれ抜きで仕事ができません。
トレース台の奥にマックのディスプレイ(液晶テレビ兼用)があります。
ちなみにマックはG4で400MHzです。
3年前購入しました。
最初はほとんど仕事に使うことができず、主にネット専用でした。
現在このマックでネットにつなぐことはあまりありません。
DSC09628
のぞむの机(拡大)

漫画を描くとき主に使っている画材です。
インクはPILOTの製図用インク。
ペン先は主にGペン。
細かい絵を描くときに時々スクールペンを使います。
2〜3年前までは主に丸ペンを使っていましたが、現在は滅多に使うことはありません。
ネームを描くときは鉛筆の三菱ハイユニ(濃さはF)を使っています。
何故鉛筆かというと、線を強弱つけてのびのびと描くためで、シャーペンは芯が細くて力を入れて絵を描くと折れてしまうのから。
シャーペンは主にセリフなど文章を書くときに使います。
ホワイトはMAXONのCOMIC INK WHITE。
枠線は0.7ミリの太さのロットリングペン。
原稿用紙はトレースしやすいように薄出の110kgMAXONマンガ原稿用紙。
DSC09629
のぞむの机(画材)

作業机です。
この机にはスキャナとプリンタをそれぞれ2台ずつ置いています。
そしてノートパソコンでスキャンした画像を処理します。
ノートパソコンはパワーブックG4で550MHzです。
2年前購入しました。
スキャナはA4サイズまではエプソンGT-7300U、
B4サイズ以上はエプソンES-8500。
プリンタはA4サイズまではインクジェット式のHP957c、
B4サイズ以上はレーザープリンタのエプソンLP-8900。
設備投資はかなりかかります。
DSC09638
作業机

ここは主にアシスタントが使う机です。
横に自作のウィンドウズのパソコンを置いています。
2.4MHzで近々デュアルにするつもりです。
棚の上には今まで描いた漫画の生原稿やネームが汚くファイルされています。
DSC09639
アシスタントの机

資料を入れている棚です。
手前の棚には車輪がついているので自由に移動させることができます。
よく読む漫画資料が入れてあります。
『コブラ』『バガボンド』『ベルセルク』『ヒミズ』『AKIRA』など。
DSC09640
資料棚

奥は寝室です。
押入れには数千冊の漫画の本が整理もせずに詰まっています。
DSC09631
寝室

汚い部屋ですみません。
心を入れ替えて片づけたいと思ってはいるのですが‥‥

【本】『鉄腕アトム(4)』手塚治虫

「ロボット爆弾の巻」ロボット爆弾の製造機が深海に投棄、自分のことを高等動物だと思い込んだ爆弾が地下で王国を作る、悪夢のような光景。海底ゆえ体中フジツボにびっしり覆われた、自分を国王と名乗るロボット爆弾のキャラクターが面白い。一旦終わったと思いきや後の二段オチがちょっとトリッキー。

【本】『鉄腕アトム(6)』手塚治虫

「イワンのばかの巻」小学校低学年時に既読済み。読んでいるとラストシーンを読んだときの感情がリアルに蘇ってくる。子供だった頃はアトムがどんな敵ロボットと戦うかということばかり興味を持っていた……と思っていたが、意外と後々まで記憶に残っているのはこの漫画のラストのような一枚絵だ。
「エジプト陰謀団の秘密の巻」ラストのコマ付近の絵もはっきりと覚えている。そういえば小学校低学年時、藤子不二雄漫画(「ドラえもん」「怪物くん」)を読んでいたこともあって手塚氏の絵柄が古いと思わなかった。しかし小学四年ぐらいになると少年ジャンプの流行り絵に夢中になり、手塚漫画から離れていった。途中で『ブラック・ジャック』などを読んだりしたが、再び手塚漫画にハマるのは中学卒業前後から、そしてそれは主に大人漫画中心。僕にとって『鉄腕アトム』がちょうど手塚氏の中の空白地帯だった。

【本】『鉄腕アトム(7)』手塚治虫

「宇宙ヒョウの巻」群体生物である宇宙ヒョウのアイデアは医学博士になった手塚氏らしい。当時のSFの水準としても相当なレベル。それを迎え撃つアトムのアイデアも漫画として捻りが効いている。
「透明人間の巻」五八年公開の映画『ハエ男の恐怖』から着想を得たものと思われる(本作品は六〇年発表)。もの悲しいラストが何ともやるせない。